SF映画キャンペーンその②
静かに泣ける映画だった…………
(あらすじ)
地球でたった1人生き残った男が、地球の現状を伝えるために帰還中の宇宙飛行士たちと交信を試みる。
(感想)
昨日の映画(パッセンジャー)がシナリオの行く末で楽しませるエンタメ寄りだったのに対して、この映画は映像美や雰囲気で心に染みさせる「作品」だなと思った。だってシナリオはもはや何かを解決するとか達成するとかそういう次元じゃないんですよ。もう地球は壊滅的なことになってしまっている。それは変えようがない。男にできるのは、少しでも希望を繋ぐことだけ。
ストーリーは北極の観測所で交信を試みる男の過酷な生活パートと、地球がそんなことになってるとは少しも知らない宇宙飛行士たちの日常パートが交互に展開されて進む。正直、宇宙飛行士パート要るか?と思って観ていたけど、最後まで観ると彼らのことを知れて良かったなと思う。ちなみに地球で具体的にどんな厄災があったのかの説明は最後まで無い。でも、それが気にならないくらい登場人物たちの心理描写で満足させに来てるとは思う。
個人的に1番よかったなー!と思ったのは、宇宙飛行士たちが宇宙船を直すシーン。
というかそもそも、SF映画観よう!って思ったきっかけが宇宙ロケットの本を読んだからなので、SF映画で宇宙船のデザインを観るのが楽しいんですよね。昨日の映画も宇宙船の感想ばっか書いてしまった。
この映画の宇宙飛行士たちが乗っている宇宙船はさすが「NASA」という設定になっているだけあって、近未来じみたワールドシップとは全然違う。科学館で見た実在のロケットや宇宙ステーションを彷彿とさせるリアリティのあるデザインだった。反射素材の胴体に、折りたたみできるパラボラアンテナ、推進エネルギーをキャッチしてそうな巨大な網と、なんか「どの部分が何を司っているのか」がなんとなく分かる構造だった。この宇宙船の移動距離もパッセンジャーに比べたら現実的(太陽系内惑星への移動)だしね。そういう目線を持つようになれたのは本のおかげ。そしてその目線で見る宇宙ものはめちゃくちゃ楽しい。
宇宙船の修理シーンは「こんな構造になってるんだー!」と宇宙船を存分に観察できた。地球にいる男が過酷な旅路を歩んでいるからこそ、鮮明で好奇心をくすぐる宇宙船細部の映像が癒しだった。まぁそのすぐあとに宇宙船パートも絶望に叩き落とされるんだけどね!!
シナリオは別に何も起こらないとか書いたけど、緩急はしっかりあって、ほっこりからのハラハラも多数。ちゃんと物語に集中させる効果があります。
現実的なロケットが出てくる映画もなかなか面白いなと思えた。またSF映画を摂取したい。
静かに泣ける映画だった…………
(あらすじ)
地球でたった1人生き残った男が、地球の現状を伝えるために帰還中の宇宙飛行士たちと交信を試みる。
(感想)
昨日の映画(パッセンジャー)がシナリオの行く末で楽しませるエンタメ寄りだったのに対して、この映画は映像美や雰囲気で心に染みさせる「作品」だなと思った。だってシナリオはもはや何かを解決するとか達成するとかそういう次元じゃないんですよ。もう地球は壊滅的なことになってしまっている。それは変えようがない。男にできるのは、少しでも希望を繋ぐことだけ。
ストーリーは北極の観測所で交信を試みる男の過酷な生活パートと、地球がそんなことになってるとは少しも知らない宇宙飛行士たちの日常パートが交互に展開されて進む。正直、宇宙飛行士パート要るか?と思って観ていたけど、最後まで観ると彼らのことを知れて良かったなと思う。ちなみに地球で具体的にどんな厄災があったのかの説明は最後まで無い。でも、それが気にならないくらい登場人物たちの心理描写で満足させに来てるとは思う。
個人的に1番よかったなー!と思ったのは、宇宙飛行士たちが宇宙船を直すシーン。
というかそもそも、SF映画観よう!って思ったきっかけが宇宙ロケットの本を読んだからなので、SF映画で宇宙船のデザインを観るのが楽しいんですよね。昨日の映画も宇宙船の感想ばっか書いてしまった。
この映画の宇宙飛行士たちが乗っている宇宙船はさすが「NASA」という設定になっているだけあって、近未来じみたワールドシップとは全然違う。科学館で見た実在のロケットや宇宙ステーションを彷彿とさせるリアリティのあるデザインだった。反射素材の胴体に、折りたたみできるパラボラアンテナ、推進エネルギーをキャッチしてそうな巨大な網と、なんか「どの部分が何を司っているのか」がなんとなく分かる構造だった。この宇宙船の移動距離もパッセンジャーに比べたら現実的(太陽系内惑星への移動)だしね。そういう目線を持つようになれたのは本のおかげ。そしてその目線で見る宇宙ものはめちゃくちゃ楽しい。
宇宙船の修理シーンは「こんな構造になってるんだー!」と宇宙船を存分に観察できた。地球にいる男が過酷な旅路を歩んでいるからこそ、鮮明で好奇心をくすぐる宇宙船細部の映像が癒しだった。まぁそのすぐあとに宇宙船パートも絶望に叩き落とされるんだけどね!!
シナリオは別に何も起こらないとか書いたけど、緩急はしっかりあって、ほっこりからのハラハラも多数。ちゃんと物語に集中させる効果があります。
現実的なロケットが出てくる映画もなかなか面白いなと思えた。またSF映画を摂取したい。
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2016年のSF映画。
読んでた本で紹介されてたので気になってネトフリ加入してまで観た。
(あらすじ)
移住先の惑星に移動中のコロニーシップ。
コールドスリープで移動するはずが、1人だけ目を覚ましてしまう…。
(ネタバレ感想)
主人公の行動が倫理的にヤバいので賛否を呼ぶ作品だと思うが、ぶっちぎりで《雰囲気が良い》ので、もうストーリーとか気にならないんだよね…!!!
最新のSFって感じがする。コロニーシップのデザインはじめ、ビジュアルが洗練されている。限られた食料の質素な食事、星々が輝くプール、宇宙船の窓から見える星空が動いていること(シップが回転することで重力作ってるからね)、別に目新しいアイデアじゃないんだろうけど、そのどれも映像が綺麗で見入ってしまう。
そしてBGMが良すぎるんだよな…!
神秘的で近未来な雰囲気を作るのに最高のBGMだった。ぜひ音楽にも注目して観てください。
ストーリーは納得できない人もいるかもしれないけど、そもそも主人公がいなければ乗客全員亡くなってたわけで、つまり主人公が罪を犯さなければ誰も救えなかったわけで、結果的に見たら主人公を責めることは出来ないよねと思う。そして主人公には責任を取って最後まで彼女と付き合ってほしい。そうなってくれたんだろうなと思わせる終わり方なのも良かった。
まぁ、そもそも運行計画にイレギュラー想定しとけや!!と思わずにはいられないけど。
とにかく現実を忘れ、宇宙を旅している気分になった。
それだけでこの映画を見る価値が大いにあったと思う。
素敵な体験をありがとう。
読んでた本で紹介されてたので気になってネトフリ加入してまで観た。
(あらすじ)
移住先の惑星に移動中のコロニーシップ。
コールドスリープで移動するはずが、1人だけ目を覚ましてしまう…。
(ネタバレ感想)
主人公の行動が倫理的にヤバいので賛否を呼ぶ作品だと思うが、ぶっちぎりで《雰囲気が良い》ので、もうストーリーとか気にならないんだよね…!!!
最新のSFって感じがする。コロニーシップのデザインはじめ、ビジュアルが洗練されている。限られた食料の質素な食事、星々が輝くプール、宇宙船の窓から見える星空が動いていること(シップが回転することで重力作ってるからね)、別に目新しいアイデアじゃないんだろうけど、そのどれも映像が綺麗で見入ってしまう。
そしてBGMが良すぎるんだよな…!
神秘的で近未来な雰囲気を作るのに最高のBGMだった。ぜひ音楽にも注目して観てください。
ストーリーは納得できない人もいるかもしれないけど、そもそも主人公がいなければ乗客全員亡くなってたわけで、つまり主人公が罪を犯さなければ誰も救えなかったわけで、結果的に見たら主人公を責めることは出来ないよねと思う。そして主人公には責任を取って最後まで彼女と付き合ってほしい。そうなってくれたんだろうなと思わせる終わり方なのも良かった。
まぁ、そもそも運行計画にイレギュラー想定しとけや!!と思わずにはいられないけど。
とにかく現実を忘れ、宇宙を旅している気分になった。
それだけでこの映画を見る価値が大いにあったと思う。
素敵な体験をありがとう。
惑星探査の一言にロマンを感じる人間は全員プレイするべきゲームランキング第1位
私はこのゲームをパッケージの雰囲気だけで買って、前情報は一切シャットアウトしていたので、いざスタートして「一人称視点なの!!???」と声に出して驚いた。そんな状態でも没入に遜色なし、ロマンの詰まったゲーム。
以下ネタバレありまくり感想。
一人称視点すら知らずにプレイを始めたので、これが単純な探索アクションゲーじゃなく「ループもの」なのも勿論知らなかった。探索してたらいきなり閉館間際みたいな音楽が鳴り始めて、謎に焦ってたら視界が真っ白になるんだもの、訳が分からないにもほどがある。分からなすぎて怖かった。そしてスタート地点で目が覚めて、ようやくシステムを知る。
初めて経験することはなんでも怖い。
初めて太陽が爆発するのをちゃんと見た時は怖かったし、初めて量子の石を見た時も不気味というか怖かった。アンコウなんて以ての外である。さらに、ブラックホールから果てしない宇宙に放り出されたときは絶望したし、迷路の先に広大な地下都市を見つけた時も何か出てくるんじゃないかとびくびくした。巨人の大海では気象の荒さに、何かの拍子で即死するんじゃないかと思った。
恐怖は知的好奇心と表裏一体。知らない惑星に行くことはびくびくするが、この先に何があるのか知りたいから行くのだ。このゲームのホラゲーじみた演出(ささやかなBGM、不気味な物体、一人称視点)は、探索のドキドキを演出するのに最適だったなと思う。
そして回数を経るごとに、危険をうまく乗り切れたり、理屈が分かって恐怖しなくなったりする。
そしてすごいなと思ったのは、最後まで自分の装備のレベルアップを必要としないこと。大海のコアとか、量子の月とか、「まだ今の装備じゃたどり着けない」と思っていたところは実は自分をレベルアップする必要は全くなく、全て行き方の問題だった。ループものは常に初期装備ではじまる。得られた知識だけで戦っていく「プレイヤーとしてのレベルアップ感」が本当に楽しい。私はいまこの宇宙で冒険してるぜと思えた。
ゲームの大筋の内容は、自分の種族より前に存在していたらしい知的生命体の痕跡を探して、彼らに何があったのかを解析すること。その解析はやがて、なぜループしているのかの説明にも結びついてくる。
ただまぁ、結構説明が不親切だなとは感じた。どんな情報を得たかはゲーム内で記録されていくし要約してくれるけど、じゃあ次に何をしようかというのはプレイヤーが自分で考えなきゃいけない。探索したいだけならそれでもいいのだが、「エンディングに行くにはどうしたらいいんだ…」と思うこともあった。普通にネットの攻略に頼った。先人の知恵を借りるのがテーマのゲームだから(?)、この不親切さはむしろそれを推奨しているような気さえする。
というかアンコウ対策はマジで苦戦した。
攻略がなかったら詰んでた。先人の皆さんありがとうございます。
特にグッときた点としては、やっぱりエンディングの演出かな。最後のミッションからエンディングが流れるまでの流れが初めて見るパターンで新鮮だった。
このゲーム、辿り着くとこまで辿り着いたら、最後を見届けるかどうかはプレイヤーの選択で進んでいく。滅びを先伸ばして永遠にキャンプファイアしていてもいいし、仲間と話していてもいい。タイミングは私に委ねられている。そこに流れる雰囲気は意外と温かく、諦めがあり、そして悲観的ではない。「終わりを受け入れる」ためのエンディングだと感じた。
太陽はもう寿命を迎えて、滅ぶのはもう決まってる。そんなものは変えられない。だけどまぁ、それでいいんじゃない? 知りたいことは全て知ったし、好きなだけ冒険した。キャンプファイアを囲んで音楽を楽しめた。好きなだけマシュマロを焼いた。手は尽くした。終わってしまうのは悲しいけど、もう「やることはない」んだ。このゲームはこれから終わるんだ。もしかしたら終わりの後に新しい始まりがあるかも。だったら、さぁ次に進もう。
プレイヤーがそういう気持ちになるのを待って、最後の崩壊が訪れる。全ては終わる。スタッフロールが流れる。
永い永い時が流れたあと、新たな宇宙がまたはじまる。
このエンディングがね……めちゃくちゃ雰囲気よくて、『ゲームが終わる』たったそれだけなのに、大感動してしまった。胸に染みた。シナリオでもキャラへの感情移入でもなく、雰囲気でここまで泣かせにくる完成度、とんでもないね。
なんだこの心に残るゲームは。
そりゃCG酔いするし怖い箇所たくさんあるし操作性もシナリオも不親切で攻略をググらなかったら詰んでたけど、全て許せるくらい「ゲーム体験のクオリティ」が勝つ! プレイヤーの体験性をがっつり重視してるところが本当に良かった。いい経験になりました。
ちなみにDLCも購入済み。
DLCに何が含まれてるのは全く知らないが、「恐怖緩和モード」があることだけ知ってて、もうなんか既に怖い。今のより更に怖い体験するってこと…?えぇ…?
私はこのゲームをパッケージの雰囲気だけで買って、前情報は一切シャットアウトしていたので、いざスタートして「一人称視点なの!!???」と声に出して驚いた。そんな状態でも没入に遜色なし、ロマンの詰まったゲーム。
以下ネタバレありまくり感想。
一人称視点すら知らずにプレイを始めたので、これが単純な探索アクションゲーじゃなく「ループもの」なのも勿論知らなかった。探索してたらいきなり閉館間際みたいな音楽が鳴り始めて、謎に焦ってたら視界が真っ白になるんだもの、訳が分からないにもほどがある。分からなすぎて怖かった。そしてスタート地点で目が覚めて、ようやくシステムを知る。
初めて経験することはなんでも怖い。
初めて太陽が爆発するのをちゃんと見た時は怖かったし、初めて量子の石を見た時も不気味というか怖かった。アンコウなんて以ての外である。さらに、ブラックホールから果てしない宇宙に放り出されたときは絶望したし、迷路の先に広大な地下都市を見つけた時も何か出てくるんじゃないかとびくびくした。巨人の大海では気象の荒さに、何かの拍子で即死するんじゃないかと思った。
恐怖は知的好奇心と表裏一体。知らない惑星に行くことはびくびくするが、この先に何があるのか知りたいから行くのだ。このゲームのホラゲーじみた演出(ささやかなBGM、不気味な物体、一人称視点)は、探索のドキドキを演出するのに最適だったなと思う。
そして回数を経るごとに、危険をうまく乗り切れたり、理屈が分かって恐怖しなくなったりする。
そしてすごいなと思ったのは、最後まで自分の装備のレベルアップを必要としないこと。大海のコアとか、量子の月とか、「まだ今の装備じゃたどり着けない」と思っていたところは実は自分をレベルアップする必要は全くなく、全て行き方の問題だった。ループものは常に初期装備ではじまる。得られた知識だけで戦っていく「プレイヤーとしてのレベルアップ感」が本当に楽しい。私はいまこの宇宙で冒険してるぜと思えた。
ゲームの大筋の内容は、自分の種族より前に存在していたらしい知的生命体の痕跡を探して、彼らに何があったのかを解析すること。その解析はやがて、なぜループしているのかの説明にも結びついてくる。
ただまぁ、結構説明が不親切だなとは感じた。どんな情報を得たかはゲーム内で記録されていくし要約してくれるけど、じゃあ次に何をしようかというのはプレイヤーが自分で考えなきゃいけない。探索したいだけならそれでもいいのだが、「エンディングに行くにはどうしたらいいんだ…」と思うこともあった。普通にネットの攻略に頼った。先人の知恵を借りるのがテーマのゲームだから(?)、この不親切さはむしろそれを推奨しているような気さえする。
というかアンコウ対策はマジで苦戦した。
攻略がなかったら詰んでた。先人の皆さんありがとうございます。
特にグッときた点としては、やっぱりエンディングの演出かな。最後のミッションからエンディングが流れるまでの流れが初めて見るパターンで新鮮だった。
このゲーム、辿り着くとこまで辿り着いたら、最後を見届けるかどうかはプレイヤーの選択で進んでいく。滅びを先伸ばして永遠にキャンプファイアしていてもいいし、仲間と話していてもいい。タイミングは私に委ねられている。そこに流れる雰囲気は意外と温かく、諦めがあり、そして悲観的ではない。「終わりを受け入れる」ためのエンディングだと感じた。
太陽はもう寿命を迎えて、滅ぶのはもう決まってる。そんなものは変えられない。だけどまぁ、それでいいんじゃない? 知りたいことは全て知ったし、好きなだけ冒険した。キャンプファイアを囲んで音楽を楽しめた。好きなだけマシュマロを焼いた。手は尽くした。終わってしまうのは悲しいけど、もう「やることはない」んだ。このゲームはこれから終わるんだ。もしかしたら終わりの後に新しい始まりがあるかも。だったら、さぁ次に進もう。
プレイヤーがそういう気持ちになるのを待って、最後の崩壊が訪れる。全ては終わる。スタッフロールが流れる。
永い永い時が流れたあと、新たな宇宙がまたはじまる。
このエンディングがね……めちゃくちゃ雰囲気よくて、『ゲームが終わる』たったそれだけなのに、大感動してしまった。胸に染みた。シナリオでもキャラへの感情移入でもなく、雰囲気でここまで泣かせにくる完成度、とんでもないね。
なんだこの心に残るゲームは。
そりゃCG酔いするし怖い箇所たくさんあるし操作性もシナリオも不親切で攻略をググらなかったら詰んでたけど、全て許せるくらい「ゲーム体験のクオリティ」が勝つ! プレイヤーの体験性をがっつり重視してるところが本当に良かった。いい経験になりました。
ちなみにDLCも購入済み。
DLCに何が含まれてるのは全く知らないが、「恐怖緩和モード」があることだけ知ってて、もうなんか既に怖い。今のより更に怖い体験するってこと…?えぇ…?
酉島伝法『金星の蟲』
『宿借りの星』で世界観の完成度の高さに惚れ、作家買いすることになった酉島伝法のSF短編集。酉島伝法といえば!な異形モノもありながら、様々なテーマの作品が味わえるという、贅沢な短編集だった。特に読んでて楽しかった作品の感想をまとめる。
「金星の蟲」
印刷工の男の日常が侵食されていく。全体的に湿度の高い不穏な空気が充満しており、めちゃくちゃ暗い。初手でこの陰鬱さは読者を挫折させに来てると思う。正直、読む気になれなくていきなり数ヶ月寝かした。巻末解説によれば、酉島作品の中でも造語が少ないとのことで、まぁたしかに読みやすかったけど、理解しやすいからこそ陰鬱さをストレートに感じるまである。この作者、SF小説じゃなくて陰鬱お仕事小説でも大成しただろうな。この暗さは別の短編集に収録されている「皆勤の徒」に似通っている。初手の収録作品の暗さで読者の心を折るところも似通っている。
「環刑錮」
脳は精神の牢獄!とかいう抽象的な話じゃなくて、自分の体を物理的に牢獄にしてしまうのはヤバいアイデアだと思います。(率直すぎる感想) 体の自由を奪われた結果、思考だけが生きているのであれば、それは本当に脳が牢獄になるよね…。動かせるものが思考だけになったとき、過去の記憶がとめどなくフラッシュバックするの分かるなぁ。主人公の行く末を見守るのが面白かった。
「ブロッコリー神殿」
未知の惑星に、惑星探査のチームがやってきて巻き込まれる。官能的だなぁと思って読んでたら本当にそういう趣旨で書かれたやつだった。語りが「侵入される側の惑星視点」なのが面白い。物語ってこんな角度で作れるんだ!という発見があった。語りも展開もシリアスなのに、作品タイトルがブロッコリー神殿とかいうセンスがずるい。作品の舞台がブロッコリーみたいな森(のようなもの)だからなんだろうけど、投げやりで率直すぎるタイトルに見えるのは私だけだろうか。他のタイトルがかっこいいだけに、作品名のインパクトが尾を引く。
「堕天の塔」
とある漫画作品のトリビュートとして書かれたものらしいよ。だから世界観の完全な把握はこの作品だけでは難しいなと思ったが、物語の筋がかなり好みだった。主人公がピンチの末に、かつてはぐれたものと再会するのアツい。酉島伝法、異形造形や造語による読書体験の没入感だけじゃなく、話の筋だけでも面白いからすき。『皆勤の徒』収録の「泥海の浮き城」でも思ったことだが、酉島伝法のハードボイルド風作品、ほんとすき。
「クリプトプラズム」
謎の物質を探査研究する話。本巻の中で特に宇宙ものっぽいというか、1番SFらしい作品だった。探査段階の予測不能感が面白いのは当然ながら、個人的には「読まれることによって完成する作品」である論理にめちゃくちゃ弱いので、こんなん反則だろ…と思いながら最終ページを閉じた。
やっぱり面白いね、SF!思考実験と娯楽性をガッチャンコした作品が多いところが好き。特に短編集は、数多の世界を覗き見てきた満足感がある。ここ2ヶ月ほど、新生活に追われて心の余裕がなかったけど、やっと読書する余裕が出てきたのも嬉しい。
酉島ワールドにまだ浸っていたいなと思ったので、外出したついでに本屋で『るん(笑)』を買ってきたが、よく考えたらヌフレツンもあったな…。また今度だなそれは。こうして「いつか読むつもり」の積み本が増えていくのであった。
『宿借りの星』で世界観の完成度の高さに惚れ、作家買いすることになった酉島伝法のSF短編集。酉島伝法といえば!な異形モノもありながら、様々なテーマの作品が味わえるという、贅沢な短編集だった。特に読んでて楽しかった作品の感想をまとめる。
「金星の蟲」
印刷工の男の日常が侵食されていく。全体的に湿度の高い不穏な空気が充満しており、めちゃくちゃ暗い。初手でこの陰鬱さは読者を挫折させに来てると思う。正直、読む気になれなくていきなり数ヶ月寝かした。巻末解説によれば、酉島作品の中でも造語が少ないとのことで、まぁたしかに読みやすかったけど、理解しやすいからこそ陰鬱さをストレートに感じるまである。この作者、SF小説じゃなくて陰鬱お仕事小説でも大成しただろうな。この暗さは別の短編集に収録されている「皆勤の徒」に似通っている。初手の収録作品の暗さで読者の心を折るところも似通っている。
「環刑錮」
脳は精神の牢獄!とかいう抽象的な話じゃなくて、自分の体を物理的に牢獄にしてしまうのはヤバいアイデアだと思います。(率直すぎる感想) 体の自由を奪われた結果、思考だけが生きているのであれば、それは本当に脳が牢獄になるよね…。動かせるものが思考だけになったとき、過去の記憶がとめどなくフラッシュバックするの分かるなぁ。主人公の行く末を見守るのが面白かった。
「ブロッコリー神殿」
未知の惑星に、惑星探査のチームがやってきて巻き込まれる。官能的だなぁと思って読んでたら本当にそういう趣旨で書かれたやつだった。語りが「侵入される側の惑星視点」なのが面白い。物語ってこんな角度で作れるんだ!という発見があった。語りも展開もシリアスなのに、作品タイトルがブロッコリー神殿とかいうセンスがずるい。作品の舞台がブロッコリーみたいな森(のようなもの)だからなんだろうけど、投げやりで率直すぎるタイトルに見えるのは私だけだろうか。他のタイトルがかっこいいだけに、作品名のインパクトが尾を引く。
「堕天の塔」
とある漫画作品のトリビュートとして書かれたものらしいよ。だから世界観の完全な把握はこの作品だけでは難しいなと思ったが、物語の筋がかなり好みだった。主人公がピンチの末に、かつてはぐれたものと再会するのアツい。酉島伝法、異形造形や造語による読書体験の没入感だけじゃなく、話の筋だけでも面白いからすき。『皆勤の徒』収録の「泥海の浮き城」でも思ったことだが、酉島伝法のハードボイルド風作品、ほんとすき。
「クリプトプラズム」
謎の物質を探査研究する話。本巻の中で特に宇宙ものっぽいというか、1番SFらしい作品だった。探査段階の予測不能感が面白いのは当然ながら、個人的には「読まれることによって完成する作品」である論理にめちゃくちゃ弱いので、こんなん反則だろ…と思いながら最終ページを閉じた。
やっぱり面白いね、SF!思考実験と娯楽性をガッチャンコした作品が多いところが好き。特に短編集は、数多の世界を覗き見てきた満足感がある。ここ2ヶ月ほど、新生活に追われて心の余裕がなかったけど、やっと読書する余裕が出てきたのも嬉しい。
酉島ワールドにまだ浸っていたいなと思ったので、外出したついでに本屋で『るん(笑)』を買ってきたが、よく考えたらヌフレツンもあったな…。また今度だなそれは。こうして「いつか読むつもり」の積み本が増えていくのであった。
4月が終わろうとしている。
はじめての部署異動は想像よりヤバいわけでもなく、想像より軽いわけでもなく、想像がつく程度には「ちゃんと大変」だった。慣れないことによる苦しさは、新卒の頃の気持ちとリンクする。あの頃の日記を読んで、同じ心情を繰り返している…と思った。
あの頃より変わったことがあるかといえば、「辛い時期はいつか去りゆく」という真理に気づきやすくなったことだろうか。今たしかに心の底から疲れてつらくても、直近の未来が楽しくなさそうでも、もう少し先(3週間後とか1ヶ月後とか)に目を向けたら、慣れないことによる苦しさは少しは和らいでいるのではないかなと思う。これは実体験による確信だ。もう駄目だと思うときでも、この視点にたどり着けるのであれば、少しは気持ちが楽になる。そして「1度は乗り越えてきた」という自負が、私を少しだけ救ってくれる。
とはいえ正直、4月当初〜中旬の記憶は全然ない。
分からないことだらけ、毎日が情報の洪水で、帰る頃には頭が重かった。朝起きても憂鬱だった。通勤場所が遠くなり早起きしなきゃいけなくなったのも、ダメージの原因だと思う。
土日は予定がなければ寝て過ごした。
4月の半ばを過ぎてようやく、ツーリングとか買い物とか、自分のために時間を使えるようになった。
毎日頭はパンクしていたけど、異動したばかりなのに滅茶苦茶な業務量を課されるとか、そういうことは一切ない。
むしろ周りがかなり配慮してくれて、私がやるべきことはほんの少しだったと思う。
その一方で私の精神だけが「はやく1人前にならなくては。異動したばかりとはいえ、ただの新卒じゃないんだから、ちゃんと使える人間にならなきゃ…!」と焦っていたところはある。心が病んだ原因の半分は、自分の焦りだったのかもしれない。
たしかに新卒とは違う。
その意識は良くも悪くも私を突き動かした。悪い面としては、焦りが募ったこと。良い面としては、一部の業務で即戦力になれたこと。幸運なことに、与えられた業務は前の部署でやっていたことと似ていた。実際の契約内容は違っても、契約の手続きでどんな書類を作るかは同じ、みたいな。むしろ契約件数の少なさに驚いたくらいだ。ブラック企業で腕を磨いた人間が転職先で無双するような類の楽しさはあった。
このアイデンティティがなければ、私の病み具合は尋常じゃなかっただろう。前の部署で先輩が言っていた「ここでちゃんと働けたら、どんな部署でも通用するよ」という言葉をふと思い出して、先輩の姿を追いかけていてよかったなと、しんみりするなどした。
異動して2週間も経たない頃、前の部署の近くを通ることがあり、一瞬だけ顔を出そうかなと思った。ただそのときは記憶が無いくらい毎日疲れている期間だったので、「いま前の部署に行ったら、きっと泣いてしまう。私が甘えるためだけに戻るのは良くない。割り切って無視しよう」と思って踵を返した。
私自身が職場の人に弱さを見せるのはもちろん、「前の部署が恋しくて戻ってきたんだ」と思われるのも、「新しい部署でうまくいっていないんだ」と思われるのは絶対嫌だった。そんなことを考えるなんて被害妄想が過ぎるのだが、私は過去に「異動したのにわざわざ顔を出してくる人」を見て、「異動したのに前の仕事に執着するなんてお節介だな。終わった仕事は忘れるに限るだろ」と、ぶん殴りたくなるほど生意気なことを実際思っていた。ああはなりたくない、私は絶対異動したら新しい仕事に全力を注いで、古い仕事の面倒をみるなんてことはしない、そう思っていた時期があった。
もちろん完璧に引き継ぎができたとは思っていないから、前の部署から質問があればちゃんと答える。ただ、私の方から自発的に助けに行くのはなんか違うなーと思っていた。
まぁそんな傲慢な考えは、捨て去ることになるんだけど!
結局、先週2回、前の部署に行った。
新しい仕事を定時で終わらせてから寄った。
理由は単純。後輩が大変そうだったから。
前の部署は私が抜けたあと、新卒が入ってきて、さらにメンバーが1人育休に入ってしまって、カツカツで大変なんだそうだ。後輩が電話してくるたびに「いつでも遊びに来てくださいね!」と言うので、これは相当参ってるな、と感じていた。こんなときに動かない方がかっこ悪いだろ。なんと思われても別にいい。後輩の助けになれるならそれでいい。
後輩の代わりに新卒の仕事をつきっきりで教えて、後輩が自分の仕事を片付けられる時間を確保する。たったそれだけが私にできる限界だったけど、自己満足でしかないけど、後悔はしてないよ。(当たり前に新卒がバリバリ残業している部署、怖いよね!)
そんなこんなで、苦しみばかり味わった4月が終わる。
間もなく引越しする。一人暮らしが始まる。
艱難に磨かれながら、自分を作っていこう。
はじめての部署異動は想像よりヤバいわけでもなく、想像より軽いわけでもなく、想像がつく程度には「ちゃんと大変」だった。慣れないことによる苦しさは、新卒の頃の気持ちとリンクする。あの頃の日記を読んで、同じ心情を繰り返している…と思った。
あの頃より変わったことがあるかといえば、「辛い時期はいつか去りゆく」という真理に気づきやすくなったことだろうか。今たしかに心の底から疲れてつらくても、直近の未来が楽しくなさそうでも、もう少し先(3週間後とか1ヶ月後とか)に目を向けたら、慣れないことによる苦しさは少しは和らいでいるのではないかなと思う。これは実体験による確信だ。もう駄目だと思うときでも、この視点にたどり着けるのであれば、少しは気持ちが楽になる。そして「1度は乗り越えてきた」という自負が、私を少しだけ救ってくれる。
とはいえ正直、4月当初〜中旬の記憶は全然ない。
分からないことだらけ、毎日が情報の洪水で、帰る頃には頭が重かった。朝起きても憂鬱だった。通勤場所が遠くなり早起きしなきゃいけなくなったのも、ダメージの原因だと思う。
土日は予定がなければ寝て過ごした。
4月の半ばを過ぎてようやく、ツーリングとか買い物とか、自分のために時間を使えるようになった。
毎日頭はパンクしていたけど、異動したばかりなのに滅茶苦茶な業務量を課されるとか、そういうことは一切ない。
むしろ周りがかなり配慮してくれて、私がやるべきことはほんの少しだったと思う。
その一方で私の精神だけが「はやく1人前にならなくては。異動したばかりとはいえ、ただの新卒じゃないんだから、ちゃんと使える人間にならなきゃ…!」と焦っていたところはある。心が病んだ原因の半分は、自分の焦りだったのかもしれない。
たしかに新卒とは違う。
その意識は良くも悪くも私を突き動かした。悪い面としては、焦りが募ったこと。良い面としては、一部の業務で即戦力になれたこと。幸運なことに、与えられた業務は前の部署でやっていたことと似ていた。実際の契約内容は違っても、契約の手続きでどんな書類を作るかは同じ、みたいな。むしろ契約件数の少なさに驚いたくらいだ。ブラック企業で腕を磨いた人間が転職先で無双するような類の楽しさはあった。
このアイデンティティがなければ、私の病み具合は尋常じゃなかっただろう。前の部署で先輩が言っていた「ここでちゃんと働けたら、どんな部署でも通用するよ」という言葉をふと思い出して、先輩の姿を追いかけていてよかったなと、しんみりするなどした。
異動して2週間も経たない頃、前の部署の近くを通ることがあり、一瞬だけ顔を出そうかなと思った。ただそのときは記憶が無いくらい毎日疲れている期間だったので、「いま前の部署に行ったら、きっと泣いてしまう。私が甘えるためだけに戻るのは良くない。割り切って無視しよう」と思って踵を返した。
私自身が職場の人に弱さを見せるのはもちろん、「前の部署が恋しくて戻ってきたんだ」と思われるのも、「新しい部署でうまくいっていないんだ」と思われるのは絶対嫌だった。そんなことを考えるなんて被害妄想が過ぎるのだが、私は過去に「異動したのにわざわざ顔を出してくる人」を見て、「異動したのに前の仕事に執着するなんてお節介だな。終わった仕事は忘れるに限るだろ」と、ぶん殴りたくなるほど生意気なことを実際思っていた。ああはなりたくない、私は絶対異動したら新しい仕事に全力を注いで、古い仕事の面倒をみるなんてことはしない、そう思っていた時期があった。
もちろん完璧に引き継ぎができたとは思っていないから、前の部署から質問があればちゃんと答える。ただ、私の方から自発的に助けに行くのはなんか違うなーと思っていた。
まぁそんな傲慢な考えは、捨て去ることになるんだけど!
結局、先週2回、前の部署に行った。
新しい仕事を定時で終わらせてから寄った。
理由は単純。後輩が大変そうだったから。
前の部署は私が抜けたあと、新卒が入ってきて、さらにメンバーが1人育休に入ってしまって、カツカツで大変なんだそうだ。後輩が電話してくるたびに「いつでも遊びに来てくださいね!」と言うので、これは相当参ってるな、と感じていた。こんなときに動かない方がかっこ悪いだろ。なんと思われても別にいい。後輩の助けになれるならそれでいい。
後輩の代わりに新卒の仕事をつきっきりで教えて、後輩が自分の仕事を片付けられる時間を確保する。たったそれだけが私にできる限界だったけど、自己満足でしかないけど、後悔はしてないよ。(当たり前に新卒がバリバリ残業している部署、怖いよね!)
そんなこんなで、苦しみばかり味わった4月が終わる。
間もなく引越しする。一人暮らしが始まる。
艱難に磨かれながら、自分を作っていこう。