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- 04/13 ハーモニー
- 03/17 『星、はるか遠く 宇宙探査SF傑作選』の感想
- 10/28 月下のノクターンシーズン1
- 09/30 悪魔城グリモア感想文
- 11/23 銀河ヒッチハイク・ガイド
Title list of 感想置き場
ロジカルに展開される架空の世界と物語。
もはやSFというより社会学。
『虐殺器官』を読んで「伊藤計劃ってスゲー!」と言いながら、「どうせ百合だろ...」みたいな感覚で『ハーモニー』を読んでなかった自分をぶん殴りたい。マジでぶん殴りたい。ここまで「現代社会の延長戦」を徹底的に突き詰めた物語を読まずして、「思考実験みたいな小説が好き♡」とかよく言えたな私。死ぬほど恥ずかしい。
展開やテーマが興味深くて面白いのは当然として、作品丸ごと一人称を生かした作りになっているのも痺れるポイント。まるで未来の書簡体小説。書かれる意味、そして読まれることも意識した構成に、物語というものに真摯に向き合って作られているのが伝わる。そういうところに惹かれる。
読むことを後押ししてくれた友人に感謝を。
久しく読書から離れていた私を再びSFに引き寄せたとんでもない本。
すべて読み割った今、「やっぱSFって面白いわ・・・!」とこれが読める喜びを噛みしめている。
この小説を知ったのは以下の記事から。
【今週はこれを読め! SF編】風の星、砂の星、崖の星、水の惑星〜中村融編『星、はるか遠く 宇宙探査SF傑作選』 - 牧眞司
偶然見かけたこの記事が頭から離れなくて、2月末に誘惑に負けて注文した。
大正解だった。
長編を読む根気が無い自分にとって「短編集」はなによりもありがたい存在だったし、アンソロジーだからこそテーマも文体も雰囲気も異なる作品に次から次へと巡り合えて決して飽きない。「探査」をカギとして集められているという点も良かった。何かを探したい、解決したいという欲求は物語と非常に相性が良いと思う。
というわけで感想を書くが、本書は短編のため、結末を知ることそれ自体が物語全てを知ることになりかねない。ほとんどすべての話が「事前情報なしで読むのが一番面白い」と言えるので、ちょっとでも興味がある場合、以下のネタバレを含む感想は読まないことを推奨する。なんならさっき引用した記事も読まない方がいいくらい。忘れた頃に買ってくれ。
以下、感想。
特に好きだったのは「異星の十字架」。
読み終えてみると単純でお約束な物語だなと思うが、初見の私はこの物語に出てくる神父並みに察しが悪かったので、めちゃめちゃ楽しめた。ああそうやって帰結するのか、と腑に落ちる感じが最高に気持ち良い。最後は、取り返しのつかないことをしてしまったと知った異星人のセリフで締めくくられるのだが、それまでコミカルでファンタジックに描かれていた雰囲気が後ろ暗い発言で終わる、という温度差もまた満足感を爆上げしている。
「ジャン・デュプレ」はSFというより、英雄のいる戦争映画のようで、映画一本見終わったような読後感があった。2010年代の映画でこういうシナリオありそうなんだよな。そう感じるくらい現代で読んでも色褪せていないのが名作たる所以か。
「故郷への長い道」は、トップに掲載されるのが納得のいく話だった。それまで本書のことを「宇宙の深遠でやばい上位存在に遭遇する」みたいな話のアンソロジーだとなぜか想像していたので(たぶん帯のせい)、「宇宙の果てで不思議なものを見つける」というこの作品の温度感・緊張感は、アンソロジーの主旨を理解するのに大変役立った。なお、マヤ文明の都市伝説を子どものころにテレビで見ていた私にはあまりにも刺さりすぎる真相だった。
「風の民」、この背徳的で耽美な雰囲気は間違いなくゴシックホラー。登場人物の葛藤すら美しく見えて困惑する。(だからといってアンソロジーに相応しくないよねって言いたいわけではなく、むしろこういう作風もあるのは大変面白いと思います)
「タズー惑星の地下鉄」、地下鉄ってよく考えたらめっちゃロマンだよな・・・!という謎の興奮を得た。遺跡じゃなくて地下鉄っていうのがまぁかっこいい。かつてここにあった高度文明をその一言で証明できるんだからすごいもんよ。こういうロマンに共感できる人なら絶対面白く読める。
「地獄の口」、なんの説明もなく探検隊がもくもくと進む様子から始まり、そのまま困難に突き当たってドラマがあって物語が終わるので、翻訳者の前説が無ければ理解不能だったかもしれない。ただ、場景は毒々しいくらい鮮やかで、理解も追いつかずにそんなのを読み進めていくのは、ヤバい夢を見ている感覚に似ている。エンディングが淡々とその後の世界を説明しているのが結構好き。対比が効いている。
「鉄壁の砦」、これもホラー。どうにも私は、真相がわかる怪異はSF、真相がわからない怪異はホラーと理解しているところがある。そういう分類で行くとこれはホラー・・・だが、広大な砂漠に建つ孤独な砦、というロケーションが雰囲気最高なので、そんなことはどうでもよくなる。
「総花的解決」、タイトルが堅苦しいわりに本書で最もコミカルでユーモアがある作品。訳者あとがきを読むと、タイトルの意味とユーモアをぶち込む必要性にも納得がいく。マニャンという外交官が出てくるのだが、名前にひっぱられて私の頭の中ではずっと半獣人(猫)の神経質な男性のデザインだった。私の頭の中でだけ、世界観がますむらひろし(「銀河鉄道の夜」を猫主人公でキャラデザした人)だった。
ラストを飾る「表面張力」は、プロローグ時点ではなぜそんなタイトルなのか想像できなかったのだが、その意味を理解した瞬間、鳥肌が立った。引用した記事にも書かれていたが、「水の中」という異世界にもかかわらず、徹底した描写のおかげで光景をはっきりと思い描くことができるのがすごい。最後の方はなんかもう映像がマジで鮮明に見えるし、パラが息絶えるシーンは感極まってちょっと泣いた。「知識にできないことは何もない」って、知識をフルに使って困難を成し遂げた人間に対するセリフとしてはかなり感動的だし、ここでプロトと人間たちの確固たる同盟が約束されたことで未来(哺乳類の進化)が約束されたようなものだと思わせる手法もずるい。さらにそのエンディングに運命的な再会もぶち込んでくるのはやりすぎではと思わなくもないが、物語がここで終わるのだから、成すすべなく死ぬしかなかったプロローグの絶望をひっくり返すくらいの希望があって当然だろう。この小さな冒険者たちに幸あれ。
気が付いたら全作品の感想を書いていた。
こうして感想が書きたくて仕方ない熱意を持ったのも久々だし、文庫本をこれほどの短期間で読み終えたのも久々。そして火が付いた読書欲にまかせて今日は5冊も本を買ってしまった。SFって面白いんだという当然のことを思い出させてくれた本書に心から感謝を。願わくば今後もこういうアンソロどんどん出版してください・・・!
第1話
幼少期リヒターのシーンからスタート。今回のリヒター魔法使えるの!?血筋的には何もおかしくないけどちょっと意外。
とにかくマリアが美少女すぎる。どこで止めても描き込みっぷりがとんでもない。かわいさに全振りしすぎている。初見はアニメーションの美麗さとマリアのかわいさに目を奪われてストーリーが全然頭に入ってこない。マリアのキャラデザ、個人的に一番好きなバージョンが採用されててとても嬉しい。これから毎話この美少女が見られると思うと幸せ。
第2話
今回もバトルシーンあるの最高。もしかしてプリキュアみたいに毎話ある...?この作画クオリティで毎話バトルする...?えっぐ...
敵地に乗り込むのはいいけど、オペラ歌手の人戦えるんか?って思ってたら案の定捕まってビビった。必死で逃げてるのに捕まるシーン、魔物の得体の知れなさと絶望感が出ててすごくよかった。全体的に魔物のデザインが前回よりかっこいいと思う。品があるというか。前回のはアイザックのセンスがヤバかっただけかもしれんけど。
第3話
教会のマッチョの人(ミズラン?)、今回のアイザック枠ですかね。アイザックの成長の仕方めっちゃ好きだったからこの人の行く末も楽しみ。オルロック氏もカーミラ一派かと思ったら意外と冷静に戦局見てる感じで好感度高いですね(?)「自由!平等!友愛!」を叫ぶマリアが可愛すぎる。
えぇ...エドゥアールの瞳やたらキラキラで印象的に描かれてるなと思ったらそういう...。魔物になっても心が残ってるのツラいな。悪魔精錬士が狙ってやったのなら鬼畜がすぎる。
第4話
パーティ言い争い回。リヒターがまともなこと言ってると思ってたら、全員にリヒターが諭されて「リヒターなにも悪くないやろ...」ってちょっと同情した。
ミズランとオルロックの同衾シーン、展開が早すぎてびっくりした。ヘクターとレノーアあれだけ伸ばしたのに...。まぁでもオルロック氏エロいからな、気持ちはわかる。リヒターの仇敵とはいえちょっと憎めないレベルでは魅力ある。ずるい。
オルロックと邂逅したリヒターの狼狽、一見厭世的で大人っぽいリヒターの未熟さが如実に現れてていいっすね。今シーズン、展開早くて見ててかなり面白いです。戦闘方法もバリエーションめちゃくちゃあってすごいなと思う。
第5話
会話回。司祭に自分の意見をぶつけるマリア。革命が正しいと信じて疑わないマリアは、まだ理想しか見えてない若者感があって良いね。成長の余地がある。
むしゃむしゃ食べるリヒター、似合いすぎてるのでもっと見たい。永遠に肉食ってほしい。
このリヒターは過去のトラウマという闇堕ちするにふさわしい素材を持っているので、今から既に5年後が楽しみ。原作通りになるとは限らないけど。ただ「俺の血が戦いを求めている...」みたいな堕ち方より、「この世界に吸血鬼は1人も要らない」みたいな厄介な正義に乗っ取られてそうだなと思う。
待って最後に出てきた老人ジュストなの...?ノーマークすぎてひっくり返った。そのうち白夜ちゃんとプレイしなきゃな。
第6話
前シーズンは「ドラキュラ一家の物語」って感じだったけど、今回は吸血鬼の恐ろしさや太陽への憎しみ、永遠への陶酔とかをじっくり描くことで「吸血鬼とは」を深堀してていい。
ジュスト「常に邪悪が勝つ...」
ベルモンドに有るまじきネガティブ...。まぁそれだけ闇が根深い表現にはなっている。リヒターの心の中もそう。てか湖畔のシーン美しいな。映像が本当に隅から隅まで美しい。
リヒター覚醒シーンかっっっこよすぎんか!??過去に苦しめられてた青年が「今、守りたい人たち」のことを思って立ち上がる構成が熱い。ハチマキをすることで「これだよなリヒターは!!!」っていうのをファンに思い出させるギミックも効いてる。エンタメとしてレベルが高すぎるんよ...(泣)
第7話
鳥に掴まって飛んでいくマリアの躍動感、さすがのアクションシーン。
ヴァンパイアメシアに形だけ頭を垂れてるオルロック氏、疑いを隠そうともしない表情が好き。オルロックさんドラゴンドラゴン言われてるけどドラゴンなのか?たしかに瞳は爬虫類っぽい。情勢的にメシアに従わざるを得ないオルロック氏、やっぱりなんか憎めなくて応援したくなる。長生きしてるし余計な夢(世界征服とか)を見てない分、なんか精神的に安定してそうで安心して推せるんだよな。主人公サイドはまだみんな未熟っぽくてちょっとハラハラしちゃう。
リヒターとアネット惹かれ合うの早くね...?もっとギスギスするかと思ってたらロマンスの気配でびっくりしたわ。仲直りしてよかったけれども。
オルロック氏、目的のためにベルモンドに歩み寄れるの素敵だな〜。マリア捕まるのはなんかあれよ、可哀想だけど原作通りだと思えば納得かな。あの敬虔な色男が知らせてくれるのは意外だったけど。
第8話
アクション神回。いかにリヒターVS吸血鬼の体術戦がかっこよかったか、マリアの身のこなしがどれだけ美しかったか、ヴァンパイアメシアの登場シーンの描き方がどんなに絶望感があって素晴らしかったかを力説したかったのだが、ラストシーンのアルカードの登場により感想は全て吹っ飛んだ。
なんっっっなんこれ!!!!?????
いや登場するのは知ってた、知ってたけどさ、前作のシーズン1みたいになんか探してたら棺桶起動させちゃったくらいの静かな出会いだと思ってたんだよ。なんだこれ!!??ベルモンドの窮地に突如として現れ、あんなにみんなが苦戦した吸血鬼を一刺しで絶命させる切り札っぷりを見せるなんて誰が予想できたよ!!!!しかもアニメ全体の作画向上の恩恵を全面に受けて、美しかったビジュアルがさらにありえないくらい洗練されている。衣装もかなり高貴なアレになっている。しかも三木カードだ...声優続投ありがとうありがとう...
リヒター「本物のアルカードなのか!?伝説だと思ってた...」
私も(今回の本編にアルカードが出てくるなんて都市伝説のたぐいだと)思ってた。
いやすげーなまだ8話だよ...?え...?
もうマリア可愛いとかオルロック氏推せるとかそういう気持ちで見れないよ...アルカードがでてきたらそれはもう私にとっては彼が主人公なんよ...。ああ視聴のモチベ爆上がり。ほんとにお前はよぉ、私の人生をどれだけ掻き回してくれるんだよ...(歓喜)
まだ8話だよとか言っちゃったけど8話でシーズン1終わりだった。13話くらいあると勝手に思ってた。
いやぁ...最後の最後に爆弾投げて来ましたね...ひどいよこんなん...今作もアルカードが人気かっさらっちゃうじゃん…。
アニメ自体は台詞回しもキャラ造形も映像美もアクションの見応えもとんでもないくらいレベルアップしていて、これを見るためにネトフリに入る価値はあるなと思います。
またシーズン2配信されたら契約するからな。楽しみにしてるぜ!!
ここがよかった!!って語るだけ。
供給があるたびに世界に感謝せずにはいられないほど大好きなコンテンツ、悪魔城ドラキュラ。グリモアが発表された当初はもちろん狂喜したし、ベータ版テストの動画(無断転載だったけど)を見たときも狂喜したし、絶対開発中止したと思っていたグリモアが突然配信を発表された時にはもう現実とは思えなかった。私の人生をいくらでも掻き乱しおる。愛してる。
グリモアのあらすじ
有角幻也を主人公とする遠い未来の話。侵食された魔導書を救うため、魔導書に記述されている英雄を具現化させて戦うことに。悪魔城史のなかで唯一永遠の命をもって時代を渡り歩く有角幻也と、記述された存在とはいえたしかに召喚される歴代キャラクターたちの掛け合いが魅力(個人的に)。
まずは評価から。
操作性
慣れるまで大変。IGAVANIAのサクサク操作性には程遠い。コツをつかめばタイミングよく避けたり攻撃したりできる。
ゲーム性
日々アイテムGETしたりコイン貯めたりして、コツコツ育成するソシャゲタイプ。当たり前だけど家庭用ゲームのように一気にレベル上げができないので、どうしてもクリアまでに時間がかかる。好きな時に一気に進めたい人間にはこれが辛かった...。ぐいぐいステージクリアしていくと敵がどんどん硬くなって、ある程度武器や防具を育てて(育成に日数を費やして)からじゃないと次に進めない。あとステージ数も多い。中盤くらいは先が見えなくて割と苦痛だったかも。こっちはただ物語が見たいだけなんだよ〜なんで今日はこれ以上何もできないんだよ〜みたいな。まぁグリモア自体がソシャゲ移植みたいなものだから仕方ないけど。そこそこ武器や防具が強くなって操作にも慣れてくると、効率よくアイテムを確保できるようになり、ログインボーナスも楽しみになって楽しくプレイできたので、これはほんとに慣れと適性だろうなと思う。>
グラフィック
良くも悪くもかつてのドットから刷新されている。モデリングされたキャラならではの楽しみ方(モーション一新、スキン変更など)があり、ビジュアル重視のオタクには嬉しい展開だった。あと各キャラの立ち絵が新規なのも嬉しい。あんまりそういう方面での供給は期待してなかったからさ・・・。脳内の悪魔城イメージが立ち絵1枚のみのGBA時代からアップデートされていないので、有角の立ち絵複数を見た時には椅子からずり落ちた。あと防具としてイラストカードを集めることができるんだけど、最高レア防具は歴代キャラクターをメインに据えた美麗イラスト。イラスト集とかすぐ買っちゃうちょろいオタクなので、こういうシステム嬉しかったな。好きなキャラのイラスト集めるためにめちゃくちゃガチャ回した。
ストーリー
期待を裏切らない満足度。悪魔城ドラキュラというコンテンツと、紡いできた歴史と、キャラクターに対する愛を感じた。操作性が優先される原作ゲームでは描ききれない細かなキャラクターたちの心の機微をよく描こうとしてくれたなと思う。ここに集うのは、皆それぞれ不安も恐怖も運命も抱えていて、それでも善をなそうと魔王に立ち向かった者たち。そういう部分を「歴代キャラクターたちの会話」という形で具現化してくれるのがドラマチックで感慨深くて本当に良いなと思った。
本当にストーリーが好き。満足度が高い。特に有角幻也を中心とする構成のおかげで、今までろくに自分のことを語らなかった/語られなかった有角幻也の解像度が爆上がりするんですよね...。彼は父のことをどう思っているのか、かつての仲間と再開して何を思うのか、永遠に続く運命をどう思っているのか、そんなことが全部語られる。私が悪魔城に沼ることになったきっかけ、「有角幻也」と出会って十数年、今まで妄想することでしか補完できなかった彼の“感情”が“公式から供給”されるんですよ。これ以上ない密度で有角幻也が描かれるんですよ。たった1人、十数世紀に及ぶ人類とドラキュラとの戦いを陰日向に暗躍し、時代時代で仲間と出会い別れてきた男の描き方として、「歴代キャラクターたちとの会話」以外に素晴らしい方法が見当たらない。最高の形で有角幻也が記述されている。これこそがグリモワール(魔導書)・・・!!
有角幻也以外の視点で考えると、全体の流れも「悪魔城っぽい」感じで良かった。最大の懸念として、最終的に日食の封印が解けてドラキュラ復活〜という流れだったら1999年の戦いの神秘性が薄くなるのでヤダなーと思っていたので、魔導書から召喚された仮存在の蒼真を暴走させることで“ほぼドラキュラ”を甦らせる、という最終地点なのも、とても良かった。でもデス様さぁ・・・、そうまでして蘇らせた伯爵は本当に君が望む伯爵なのか・・・?
残りの感想はキャラごと。
アルカード/有角幻也
プレイアブルキャラその1。感想は前述の通り。戦闘ではアルカードの姿になりがちだが、今回スキン仕様のおかげで、有角幻也のままでもクエストに行くことができるようになった。スキン集めるの楽しい。色んなアルカードの姿を見られるのオタクうれしいよ・・・。
永い時を一人で生きるのは孤独でつらいのでは?という質問に対し、自分にはその時代その時代で仲間がいるし、こういう面白い現象(記述された過去の仲間と再会すること)にも会えるから、悲観する必要は無い的なことを言っていた。不老の者って命を悲観しがちだから、有角幻也がもしそんな思いに囚われているのならオタクとして心苦しいなと思わないこともなかったので、この回答には、ほんとうに、救われた。彼は孤独ではない。いつだって悪に立ち向かう善なる人を見出し、ときに共闘し、ときに見守る。アルカードが記述された仲間たちから愛されているように、アルカードもその時その時の仲間たちを頼もしく好ましく思っているだろう。彼は人類を愛した母の思いを体現している。それが確信できただけで、有角幻也という人物像への最大のアンサーをもらったなと思う。今作プレイして一番良かった瞬間はここ。
操作性としては使いやすさトップクラス。機動性も火力も申し分ない。とにかく早くクリアしたかったので、他のキャラそっちのけで育成した。
シモン
プレイアブルキャラ。最も高名なヴァンパイアハンターという評価に恥じぬ高潔さ。肝心な戦闘の前に演説で皆を鼓舞するところが、アベンジャーズにおけるキャプテン・アメリカみたいでかっこよかった。「明けない夜など決してないのだ。我々自身が、それを証明してきた。」っていうセリフが好き。高祖シモン万歳。「チームでドラキュラを倒した」存在が多いのに対し、単身悪魔城に乗り込み討伐したというのがやっぱりかっこいい。召喚順がシモン→子供マリア→シャーロット→シャノアだったので、英雄の女性率に面食らうかわいいシモンが見られる。機動性は低いが、耐久性と鞭の攻撃力が頼もしい。
マリア
プレイアブルキャラ。12歳の頃のマリア。大人のマリアもサポートキャラとして出てくる。ふたりが仲良くしているところが姉妹みたいでかわいい。ハロウィン衣装とかPSP版衣装とか、スキンがかわいいのでつい集めてしまう。なんだかんだ悩みや重い過去を背負う大人が多い中、天真爛漫な性格は皆の癒しになっていたし、幼い身とはいえ「自分に力があるのなら大切な人を守りたい」という思いで戦うマリアの存在は輝いていた。
大人マリアはサポートキャラ。ストーリーで窮地に陥っているところを有角が救いに行こうとして、シモンから「焦っているように見える。この時代のマリアはお前にとって重要な存在なのだな」と言われる。そういう存在に対してのアンサーがついに出てしまった・・・。じゃあ召喚された時もっと嬉しそうにしてくれよアルカード!! ちなみに大人マリアも子供マリアに対してアルカードの話をするくらいにはお互い惹かれ合っているみたい。有角の夢女はここの描写に致命傷を受けましたが公式がそれなら甘んじて受けるぞ。そもそも私の脳内夢小説は2035年を舞台としているのでアルカードとマリアの関係はノープロブレムです・・・たぶん・・・。
二人のマリアが話しているのは姉妹みたいでかわいかった。
リヒター
サポートキャラ。最も強大なベルモンドと呼ばれる。シモンとの邂逅で感激しているのがかわいい。闇堕ち前の時代のリヒターなのだが、のちの闇堕ち事実を知って結構凹む。これに関しては対策も何もないから心してもらうしかないよね・・・。それでもちゃんと受け止めるのがリヒターの強さだと思うよ。有角に対しての二人称が「あなた」なのが新鮮。二人のマリアに戸惑うリヒターも新鮮。
思い悩むルーシーに対して、ドラキュラ討伐が怖くなかったわけではないが「大切な人を失って後悔する事の方が、ドラキュラよりもずっと怖かったんだよ」と言えるリヒター、まっすぐでいい奴だなと思う。
ハイドロストームの全体攻撃と鞭の火力の高さが使いやすいので、途中からずっとアルカードとコンビにして使っていた。上昇移動に弱いアルカードをカバーするのにアッパーがちょうどよい。
シャーロット
プレイアブルキャラ。遠距離から魔法で攻撃出来るのが便利で、序盤の難易度がぬるいステージはほぼシャロを使っていた。どーお?のコマンドは無い。ストーリーでも天才魔法使いっぷりを発揮して難しいことを喋っているのが良かった。頭脳派が少ないのだ、このメンツは・・・。
召喚された時に「噂の天才魔法使いよ!」「存ぜぬが」「・・・かのアルカードにそう言われるとダメージ大きいわね」みたいなやりとりをしていたのがツボ。シャーロット、トップクラスに気が強い節がある。あの有角に対して「よろしくね。美貌のダンピールさん。大船に乗ったつもりでいて」と言える人間はもう他にいないだろ・・・。大人マリアでもアニメ版サイファでもここまで自信たっぷりではなかったと思う。そういうところ好き。かわいい。
ジョナサン
サポートキャラ。ワイワイするような性格のキャラが全然いないので、ちゃんとやんちゃ若者枠として描かれていて安心した。明るい性格だから忘れがちだけど、シモンやリヒターとは違うベクトルで苦労しているんだよな。シモンに対して「ベルモンド家が消えたからモリス家は生命力を削って戦うしかなかった」って零す話は、当然の不満だよなと思うのでむしろ描いてくれてスッキリした。リヒターとは因縁(?)があるので、リヒターを前にすると緊張してしまうジョナサンが面白かった。
シャノア
プレイアブルキャラ。クールなお姉さんだが、表情に乏しいだけで優しさは本物。組織に裏切られるという重たい過去を持つからこそ、独特な視点で話すという描き方がとてもよい。
攻撃力、機動力ともに優れているので、アルカードを本格的に育成する前によく使っていた。
アルバス
サポートキャラ。後半あたりで加入。原作ゲームでは悲しい最期を遂げたので、シャノアと再会して少しは幸せになってほしいなと、プレイ開始からずっと待っていたキャラ。いよいよ召喚されて、みんなの前に出てきたときの第一声が「・・・シャノア」。この一言で涙腺が死んだ。妹を一途に思う兄の邂逅のセリフとしてこれ以上の破壊力は考えられない。この瞬間、シャノアもアルバスもプレイヤーも救済されたと思う。
その後も頭脳派が少ないこのメンツのなかでシャーロットと共に研究を請け負っていい感じに活躍する。原作ゲームでは正気のアルバスがそもそも貴重だったので、普通にお兄ちゃんキャラしてるアルバスはかなり新鮮だった。不遇の人気キャラ(だと思っている)が日の目を見た感じ。
戦闘性能は火力が物足りない。シャノアが有能すぎるんや・・・。
蒼真
サポートキャラ。序盤で敵として登場するので、各キャラ(特にベルモンド)の「なんだあの少年は!?」という反応が面白かった。私もまさか敵として登場するとは思っていなくてパニックになったけど。やはり覚醒しかけた蒼真にはヴァンパイアキラーが反応するらしい。
この来須蒼真という青年に対しては私は有角以上に思い入れがあるんですよね。なにせ初めて触った悪魔城の主人公が彼なので。だから随所で来須蒼真を話題にしてくれるだけでもう嬉しい。敵とはいえ擬似魔王というおいしいポジションにいるのも最高だった。
魔王化を防いで仲間にしたとき、「あんまりにも普通の男の子だったんで拍子抜けした」「あれだけ威圧感たっぷりだったのが、本当に普通のティーン」とか口々に言われているのが蒼真らしい。蒼真のセリフで一番心動かされたのは、「俺だって戦いたくはない。あの死線を彷徨うような感覚、思い出したくもない」ってやつ。本当に来須蒼真は、強敵に血が滾るような、力があるから人類を守りたいと思うような人間ではなくて、ここに集う英雄たちとは明確に一線を画して、「普通の少年」なのだなと思わせられる。
敵として登場するというこのストーリーライン、来須蒼真という特殊な青年の描き方として大正解かもしれないな・・・。悪魔城史の中では割とメジャーなキャラだと思うしメインタイトルにもさも主人公ですって感じで載っているので、初期から仲間になってベルモンド達と共闘~という流れが王道のように思える。それでも敵対キャラとして持ってくることで、今まで描かれなかった『危うい存在としての来須蒼真』がフォーカスされているなと思った。私の中で来須蒼真が主人公(善なる戦士)であることが当たり前だったからこそ(過去作でも魔王化するIFルートはあったけど)、敵として出てきた衝撃は強かったし、倒し切って味方になったときの頼もしさ、嬉しさは大きく、こういう蒼真の描き方もいいなと思った。まぁとにかく、蒼真が原作ゲームではおまけモードでしか見せなかった魔王覚醒モードを惜しみなく披露してくれる今作、プレイする価値しかないよね。
ちなみに蒼真最終戦はかなり苦戦した。ゲーゴスからの蒼真というボス2連戦。コンティニュー回数も限られるし、HP管理が今まで以上に必要。武器を強化して、攻撃を避けることを覚えて、硬い敵を地道に叩く。やっと勝てたときはそれはそれは安心したな・・・。でもやっとの思いで蒼真を加入させたとはいえ、操作は別のキャラに慣れきってしまっていたので、結局数えるくらいしかプレイしなかったのが残念。その他の感想は前述の通り。機動力はないが、火力はそこそこ。通常攻撃が大剣なのがまぁ蒼真くんって感じ。加入が遅いのでその頃には戦闘スタイルがだいぶ確立されており、使う頻度は低かった。サブストーリーの出番もなく、もっと他キャラとの絡みが見たかったなというのが唯一の不満。まぁ全体を通してほぼ魔王として大暴れしてたし妥当か・・・。
ラルフ
最終章のタイトルが「悪魔城伝説」であり、ラルフを加入させてドラキュラに挑むことになるの、熱い展開すぎて火傷するかと思った。はじめてドラキュラを倒したとされるラルフの活躍は神格化され、やがて「悪魔城伝説」と呼ばれることに・・・という前置きがかっこよすぎるんだよな。
忌み嫌われた闇祓いの一族を英雄にした伝説のベルモンド。蒼真と同じく加入が遅いので他キャラとの絡みも何もないんだけど、周囲からの評価がめちゃくちゃ高いので、それだけ神聖視されてるんだな〜というのは伝わってきた。ラルフと再会したアルカードがじんわり嬉しそうなのも良かった。
ルーシー
今作のオリジナルキャラ。イケイケな人物が多い悪魔城キャラにしては珍しく、優秀なんだけど奥手で自己評価が低い。有角をはじめ英雄たちを尊敬しており、物語が進むにつれて精神的に成長する。こっそり恋愛小説を書いている。
悩みをアルバスに相談する話と、珍しく弱気になった有角の悩みを受け止め、前向きにさせる話が好き。英雄たちも悩みや抱える思いがあるけれど、対話が人を癒し、成長させる。そういうことを教えてくれるキャラクターだった。キャラの掛け合いが魅力の今作において、とてもいい存在だったと思う。
今作の「英雄を召喚」という行為は、ルーシーいわく過去からもってくるわけではなく、悪魔城の歴史から記述された情報をもとに具現化(再現)しているとのこと。だから有角以外のキャラクターは召喚士ルーシーの解釈によって再現された存在、ということになるのかな。それはそれで有角と大人マリアの関係を考えると「再会して嬉しいと思っているのは本物のマリアではなく再現された架空の存在であって、魔法が解けたら白紙に戻る空虚な存在・・・有角にとって残酷すぎん・・・?」と思うのだが、たとえ架空の存在で一時の存在であったとしても、有角にとっては本物であり、確実に長い人生での楽しい思い出のひとつになるのだろう・・・と思い込んで心の平穏を保つことにする。まぁ、そんなことはどうでもよくて、ただルーシーが「英雄を尊敬しているから、性格や思考を理解しようと努めた」からこそ、本物とたがわぬ英雄再現が可能だったという設定はとても好き。ルーシーの姿勢はこの物語をつくったスタッフの愛に匹敵するというかイコールというか、、ルーシーがいたからこそこの夢のような作品を楽しむことができたんだなって。
ちなみにクリアするのにかけたログイン日数は900日くらい。
無駄にログインだけしていた日数がかなり多いので参考にはなりません。
中盤進めるのが苦痛で2年くらい放置していたけど、キャッスルヴァニアの新アニメ前にはクリアしたいなと思って再開し、(間に合ったかどうかは別として)どうにかストーリークリアできてよかった。ハードモードとか武器集めとかやり込み要素はかなりあるけど、もうさすがに手が回りません・・・。これがAppleアーケードでほんとによかった。課金前提のソシャゲだったらクリアできていた自信が無いからね。これでようやく解約できる。(←プレイしてない期間もずっと解約できずにいた人)
いつかストーリー部分だけでも家庭用ゲームに移植してくれたらいいなと思います。それくらい悪魔城の歴史に刻んで欲しい物語だった。勢いで有角と蒼真のことばかり書いてしまったけど、各キャラへの描写が細かくて、愛を感じた。コナミさんありがとうございました。
そのときちょうど目線の位置にあったのが『銀河ヒッチハイク・ガイド』でした。
これが『宇宙を渡って』とか『<黄金の心>号の旅』とか『地球の終わり』とかだったら、私は決してこの本を手に取ることはなかったと思います。それくらいの引力を持って、今回はタイトルに惹かれました。この漢字と外来語をとってつけたような奇妙なダサさがそれはそれは気に入って(原作は70年代の英国ラジオドラマらしいので、ダサさを狙ってつけたタイトルではないとは思いますが)、背面のあらすじもなかなか面白そう、よし買うか、と。
背面のあらすじにはこうあります、「シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作!」――基本的にその通りです。これが読みたかった。私が求めているのは、宇宙へのロマンでも、科学に忠実な空想科学トリックでも、常軌を逸した世界観や生態系でもなかったんですよ。あまりの展開に主人公が呆れ、読者が鼻で笑うような冗談を真顔で言うような小説。それが何故かSFジャンルと相性が良かったもんで、SFを漁っていれば見つかるかもしれないと思っていた、それだけのことだったみたいです。
何が言いたいかというと、この本、とても好みでした。
この本のノリが不真面目だということはお判りいただけたと思うので、あとはもう読みながら思ったことをつらつら書いていこうと思います。普通にネタバレします。
・作風について
全体的に突飛でドタバタで愉快なノリがあります。本書は地球が滅ぼされて生き残ってしまった英国人が主人公?なのですが、まぁ滅ぼされる原因も酷ければ過程も酷い。宇宙高速道路の建設に地球が邪魔だから滅ぼす、しかし建設する方は建設することは絶対善だと思っている。この理由は風刺的というかブラックジョークじみていますが、そこ以外はいたって愉快なコントでした。随所に皮肉がきいていて、読んでいて鼻で笑うこと多数。
個人的に一番笑ったのは、宇宙船で移動する主人公たちがとある星に着陸しようとした時、その星の防衛機能が出したミサイルに撃ち落されそうになり、それぞれが宇宙船のあらゆる機能を引っ張り出してどうにかミサイル回避しようとする場面ですかね。急発進したりぐるりと天地逆転したりと、しっちゃかめっちゃかになる宇宙船がなぜか鮮明に想像できて、職場で休憩中に読んでいたのに笑いそうになりました。
装飾性をとっぱらい、あくまで「淡々と記述」しているところが余計に笑いを誘うんですよね。こういう笑いに弱いんですよね私。今まで真顔で冗談を吐くような小説は円城塔の著書しか知らなかったのですが、そうかイギリスコメディも漁ればいいのか、とひらめきを得た気分です。参考にします。
・「ファイアボール」との関連について
「イルカが地球上で2番目に賢い生命」という話が作中に出てくるのですが、これ、似たようなことを「ファイアボール」の中でも言ってるんですよ。「ファイアボール」は国内のディズニースタジオが作った短編アニメです。SFファンがマニアックなネタを詰め込んで作った側面があり、元ネタがいろいろあるのは知っていたのですが、いざ対面するのは初めてだったので「これが元ネタか!!!!」と胸の内が熱くなるような感動を覚えました。SF内輪ネタとでもいうべき崇高な世界に自分も一歩踏み入ることができたような、オタクっぽい優越感。
そういえば「黄金のこころ」というサブタイトルも「ファイアボール」で使われていた気がします。あとで見返す、このためにディズニープラス加入してんのよ…(大嘘)
※と思ったら現在ディズニープラスでファイアボール視聴できないじゃないですか!!!悲しくなったのでニコ動にある無断転載ファイアボール3期(2話のサブタイトルが「黄金のこころ」)を載せておきます。
・キャラクターたちと今後について
読み終わるのが寂しいなと思う小説は、登場人物に愛着が湧くものです。キャラ愛で生きてきたオタクだからそう思うだけなのかもしれないですけど。一応の主人公、地球人のアーサーはニュートラルな存在だから置いておくとして、彼の親友フォードは不思議君な性格かと思えば最終的にはツッコミ役だし、元大統領ゼイフォードはアホそうに見えるけど魅力的な秘密を抱えているし、ゼイフォードの恋人トリリアンはチームの良心だし、ロボットのマーヴィンとかエディとかは人間以上に個性的な性格をしているし……登場人物のキャラが立っているというか、役割と性格がいい感じに分裂していてわかりやすい。あと多すぎない。それがいい。
愛着を持って読んでいたので、本書を読み終え、続編があと4冊もあることを知って喜びました。「1冊で完結しないのかよ」という文句がないではないですが、まだしばらくこの世界観に浸かれる喜びには代え難いですからね。
・「銀河ヒッチハイク・ガイド」について
銀河ヒッチハイク・ガイドというのは本書におけるキーアイテムで、宇宙でそれなりに読まれているガイドブックを指すようです。特徴は『「パニクるな」とカバーに書いてある』こと。…わかる、旅において一番肝心なのはパニックにならないことだ。以上。
総評、面白かった。
感想を書くのが久々で、かつ満足に言語化もできていない状態でブログにしてしまって申し訳ない気持ちがあります。でも気持ちが熱いうちに語らないとさ!冷めるじゃん! こんな拙い感想ですが、最後まで読んでくださりありがとうございました。セリフが多くて読みやすい小説ですので、活字が得意じゃない人にこそおすすめです。
さ、続編をポチるぞ~